文理融合

文理融合とは、これまでの大学教育の現場で一般的に使用されていた「文系・理系」という学問的区分にとらわれず、領域横断的な知識力と発想力を学生に習得させようとする教育方針のことです。

文理融合型のカリキュラムを導入することで、学生は現実社会に存在する課題に対し、柔軟な発想力と豊かな専門知識をもって解決に臨めるようになると期待されています。

以下は代表的な大学の一例です。

滋賀大学データサイエンス学部

横浜国立大学都市科学部

九州大学共創学部

中央大学国際情報学部

近年、日本の大学において「文理融合」「文理横断」型の教育・研究体制の整備が進んでいます。次代を担う高度人材の新たな育成の場として、温暖化やデジタル化、先進医療の進化といった現代社会が直面する課題は、テクノロジーの進展が新たなリスクを生み、複雑になっています。解決策を探りだし、イノベーションに結びつけるには、物理や化学、生物など自然科学系の知見だけでは不十分と考えられます。

ここで注目されるのが経済学、社会学といった新たな価値を創出する人文・社会科学系の知見です。扱い方を誤ると人類や文明を脅かす存在となる人工知能(AI)やゲノム編集などのテクノロジーと上手に付き合うには、倫理学や哲学からの視点も求められるのです。学問は発展とともに細分化する傾向があり、学部や大学院の教育をこれに合わせてしまうと、専門分野に特化した視野の狭い所謂、「たこつぼ」型の人材育成に陥る可能性があります。日本の産業界が博士課程を卒業した学生の採用を敬遠する要因の一つとも言われています。

他方で、日本の人材教育は主要国に比べ、人文・社会科学系の博士号取得者は極端に少ない。文系の博士を拡充し、日本の総合知を磨く必要もあるのです。こういったことから、イノベーションとは技術やアイデアによって社会に新たな価値をもたらすことであり、将来、自然科学系の博士を目指すにしても、その前段階で文理の枠を超え、幅広い学問を学ぶに越したことはないのです。

文理融合のメリットとデメリットはなんでしょう。メリットは、職業の選択肢を広げれることです。デメリットは、専門職に就くならば、他学部に比べて中途半端になる可能性があることです。

エンジニアや機械整備などの技術職では、顕著に差があらわれます。しかしながら、時代の転換期を迎えている昨今では、国内外を問わず多様性をうけいれる能力、コミュニケーション力の向上、論理的思考の保持、デザイン思考など、多岐にわたる領域をカバーできる人材が牽引していくであろうことは、必然となるのです。今こそ、より先見性をもった教育、実践的な教育、国際社会と協調した教育改革を行うべきと考えるに相違ない確信しています。

「あなたは文系ですか?理系ですか?」の問いに対し、「昔はあったと聞きますが、今はそんなのないですよ」と答える学生が増えていく未来が見えてきます。

 

 

 

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